週末が近づく金曜日。それだけで心が軽くなる「華の金曜日」
けすけは仕事を早めに切り上げて、家族を連れて会津の伊佐須美神社の風鈴ライトアップを見に行くことにした弾丸旅のひとコマ。
伊佐須美神社とは
福島県会津美里町に鎮座する、岩代国一之宮・会津の総鎮守とされる神社。
その歴史は長く、東北地方でも有数の古社として知られている。
ご祭神
伊弉諾尊/伊弉冉尊/大毘古命/建沼河別命 の4柱が祀られ「伊佐須美大神」と総称されている。
開拓・国家鎮護の神とも称され、縁結び・厄除け・商売繁盛・五穀豊穣・事業繁栄など
地元では老若男女問わず“パワースポット”としても親しまれている。
けすけ一家も何か祈願する事があると、思い切って出かけることがある。
田植祭りと夏を彩る風鈴と幻想的なライトアップ
御田植祭(お田植え神事)
毎年7月12日に行われる伝統の神事が行われ、獅子舞・早乙女踊りなどが繰り広げられ
日本三大田植神事のひとつに数えられているそうだ。
参拝者はこの前後の期間、境内に設置された七夕飾りや短冊へ願い事など祈願することができる。
田植祭りが終わると、ライトアップ期間に入る。
日没〜21時までライトアップが行われ、風鈴と七色のライトアップがとても幻想的だ。
伊佐須美神社へ到着
車を走らせるうちに、日がだんだんと暮れていく。
山々がシルエットを落とす中、窓を開けると、夏の風が少しひんやりとしていて心地が良い。
神社に近づくに連れて、不思議と胸が高鳴る。
車を停め伊佐須美神社の正面の鳥居を見るとそこには幻想的な光景が広がっていた。

けすけの家族一同は鳥居に顔を合わせ一礼。
鳥居を潜らせていただくと、“チリン。チリン・・”と優しい音が聞こえる。
色とりどりの風鈴が頭上に無数に吊るされ、淡くそして煌びやかな光に照らされながら風に揺れている。
その一つひとつが、夜の静けさとともに優しい音を奏で、まるで小さな音楽を演奏し語りかけてくるようだった。

周囲には地元の人たちや観光客もちらほら。カップルが手をつないで歩いていたり、子どもたちが風鈴を見上げて笑っていたり、それぞれの「金曜日の夜」がそこにあった。でも不思議と騒がしさはなく、皆この神秘的な空間を大切に味わっている。

神社の本殿で手を合わせた後、ライトアップ終了の時間が近づく。
けすけの子供たちに呼ばれ、視線を下ろすと、そこにいたのは一匹のカブトムシだった。
艶のある黒褐色のボディに、まるで夜の神さまの使いのような神秘的な存在感。
こちらに気づいたのか、すぐに羽を広げてふわりと宙に舞い上がり、どこかへと飛んでいった。
まるで「そろそろ帰ろうか」とでも言いたげに。


少し名残惜しさを感じながら参道を戻ると、ちょうどその頃ライトアップの灯りがひとつずつ静かに落とされていった。
さっきまで七色に染まっていた風鈴たちは、今は月明かりと星の下で音だけを残して夜の帳に溶けていく。
誰もいない参道に、風鈴の音が一層際立って響いていた。
夜の神社は、光を失ったことでかえって本来の姿を取り戻したかのよう。風と音がそっと寄り添う。

鳥居をくぐり、駐車場までの道を歩くと車のボディの反射に映った、けすけの家族たち。
エンジンをかける前に、ふと空を仰ぐ。するとそこには、無数の星たちが瞬いていた。
街では見られないような濃密な夜空。風鈴の音に導かれたこの夜の終わりに、仕事の疲れもどこかに消えてしまった。

伊佐須美神社公式 HP:https://isasumi.or.jp/